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 俺は監獄に戻された。

長い時間、4本の腕と足を拘束されていたせいか、やや痛む。

窓の外を見ると、赤い月が輝いていた。


 "ヤツ"の言っていることが本当だとすると、俺は"ヤツラ"を誤解していたことになる。

だが、俺は"ヤツ"の事を信用出来ない。

俺は生まれた時から"ヤツラ"と戦ってきたのだから。


 しかし、"ヤツラ"の星が滅びたというのは本当だろう。

俺も幼い頃からそう聞かされている。

もし逆の立場だったら、俺達も同じ事をしたんじゃないのか?

現に俺たちは今までの歴史の中で、俺達同士で土地や資源を奪い合ってきた。

やってることは"ヤツラ"と一緒ということか?


 ……駄目だ駄目だ。

"ヤツラ"が主張するように"ヤツラ"に生きる権利があるならば、それは俺達だって同じはずだ。

どんな条件だろうと、他者を迎え入れなければならない、なんて義務はない。

自分達の生活が脅(おびや)かされる危険があるならば、追い払うべきだ。


 そうだ、"ヤツラ"だって放っておけば数が増える。

数が増えれば、この国だけじゃ抱えきれなくなる。

そうなれば"ヤツラ"は必ず他国へ攻め入るだろう。

だからどんな理由があろうとも、"ヤツラ"を認めては駄目なんだ。


 床を見ると、栄養剤の混じった水を注いだ器があった。

俺は遠慮なくその水に足を浸す。

さっきとは違い、ゆっくりと水を吸い上げ、そして無数の口から息を吐いた。


 食料か。

全く不便な奴等だ。

俺達のように光合成が出来ないから、より多くの栄養が必要だとはな。

科学力がいくら上回っていようとも、生物的には【動物】の"ヤツラ"よりも【植物】の俺達の方が上の筈だ。


 "ヤツラ"の故郷の星。

確か"チキュー"と言ったか。


 この星とは違い、【動物】が支配した惑星。


 俺は見たこともない"ヤツラ"の惑星を思い描きながら、眠りについた。